「好かれる者と嫌われる者……。

愛される者と愛されない者……。

未来がある者と未来がない者……。

希望と絶望……。

光と闇……」


忍は対称的な二つの言葉をつぶやきながら、ゆっくりと私の方へ近づいてきた。


そして忍は私に手が届く位置まで近づくと、私のの首をめがけて両手を伸ばしてきた。


私はそのことに恐怖して顔をこわばらせると、その場に座り込み、ありったけの声で悲鳴を上げていた。


「誰か私を助けて!」と、心の中で叫びながら。


そして私の長い悲鳴が途切れたとき、まるで真夜中のような静寂が訪れた。


私はその静寂を不安に感じながらも頭を上げて、そこに立っているはずの忍にゆっくりと目を向けていた。