二人組のオッサンが病室に入ってくる。煙草の匂いがする。
「風間ルイ君?」
「はい」
ついにきた。警察だ。緊張感が走る。
「私は警察の吉田と言うものです」
警察手帳を見せられる。
「ああ、はい」
「傷痛む?」
「はい」
「それはお気の毒に、何やら怖い体験をされたとかで、大変でしたね、それでですね、その件について詳しく、ゆっくりでいいので思い出せる範囲で全然大丈夫なんで何があったか教えて貰えるかな?」
「え、まあ、あの、本当にあった話で僕は嘘偽り無く話しますが信じてくれますか?」
「辻褄が合えば、或いは」
「そうですか」
「まず貴方を誘拐した相手はどなたか分かりますか?」
「いえ、まったく知らない人でした」
「犯行動機は分かりますか?」
「いえ、いや、その、僕を、僕を食べようとしていました」
「食べる?なんのために」
「いえ、それは分かりません」
「大学の講義のあとに車で誘拐された?抵抗は出来なかったのですか?」
「あ、はい、力も強く無理やり、背後から掴まれて乗せられましたね」
「んーなるほど、車の色とかは覚えてますか?」
「いえ、すぐに目隠しされてしまったので」
「そうですか、その傷はどういうふうに出来たんですか?」
「その、噛み付かれたんです、無理やり、そのまま」
一瞬間が開き警察官は目を合わせていた。
「んー、なるほどなるほど、では確信に迫る質問をさせて貰います。それは人でしたか?」
「あ、え、いや、いいえ違います、お巡りさん!アレをなんだか知っているんですか?」
「それはこんなやつじゃなかったですか?」