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「やっぱり捜索届けが出てたよ、このあと警察の方がいらっしゃるようだよ」
「え、警察?」
まあ、そりゃそうだろう、でもあの出来事をどれだけ信じて貰えるだろうか、どれだけ信じていいのだろうか、ため息が零れる。誰が捜索届けを出したのだろうかユイナが出してくれたのだろうか、警察嫌いなはずなのに。
窓の外は雲一つも無い晴天だ。小鳥が羽ばたいている。あの老人はもう帰ってしまったのだろうか、ちゃんとお礼が言いたい。ユイナにはちゃんと連絡がいっただろうか不安だ。
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「風間さんお電話です。葉月さんです」
軽く会釈をして電話を受け取る。
「もしもし」
「ルイくん!大丈夫!?何してたの?どこにいるの?」
「ユイナ、ごめん、いろいろあって今群馬の病院にいる、本当にごめん、心配かけて」
「どうしたの?怪我したの?病気?」
「そうなんだ、肩をね」
「え、何したの?病院?今から行くね?」
「え、まあ、ちょっとね、これるの?」
「うん、行く、今すぐ」
「わかった、とりあえずスマホ無くしたから電話番号教えてくれない?」
「え、う、うん080ーXXXXーXXXX、ルイくん、死なないよね?」
「うん、傷は痛むけど命に別状はないって」
「よかった、私心配で本当に心配で、本当に生きててよかった、わかった本当に今から行くからね」
「わかった待ってるよ」
電話越しでも泣いているのがわかった。心配かけて申し訳ない。心が痛む。