「すいません、変なことをお聞きしますが、ここは何処ですか?」
「ん?ここは沼田だべ。あんちゃん道にでも迷ったのか?」
「沼田?沼田ってのは何県ですか?」
「群馬県だべ、てか肩大丈夫か?熊にでも襲われたのか?だいじか?」
「はい、近くに病院はありますか?」
「あっけど、ここからは1時間はかかるぞ、のっかてくか?」
「あ、はい、お願いします」
おそらく普通の人だろう。今はそう信じるしか無い。お言葉に甘えて、このまま連れて行って貰おう。早くしないと意識が飛びそうだ。
お爺さんが軽トラックのエンジンを掛ける。
「おう、はやく乗れ」
「ありがとうございます」
車に乗り込む。
「揺れっけど我慢してな」
シートベルをして走り出すのを確認したらもう限界だった。強烈な睡魔に襲われて。意識を失った。
✳︎
ここは?白い天井とカーテン。
「先生!意識が戻られました」
ここは病院か、少し安心した。腕には点滴が刺さっている。白衣を着た男性。
「君自分の名前は分かるかい?」
「僕は風間ルイ、ここはどこですか?」
「風間君、ここは群馬堀越病院。お爺さんが血だらけの君と山で出会ったと言って運んできたんだ。何があったか覚えているかい?この傷はどうしたんだい?」