創が絵を描く準備をしながら言う。俯いているため、表情は見えない。でも、その耳は先ほどのように赤く染まっているのが見える。

クラウディアは創に近付き、「いいわよ」と言いながら抱き締める。絵のモデルになるのは初めてだ。しかし、初めて自分を描いてくれるのが創だと思うと、胸が高鳴って止まない。

「ありがとう!クラウディアが踊っているシーンを描きたいんだ」

創が顔を上げて言うと、「なら、服を変えちゃおうかしら」とクラウディアはアトリエの隣の部屋にあるクローゼットへと向かう。このクローゼットには、クラウディアが創の家に泊まりに来た時などに着る服がしまってあるのだ。

「まさか、こんな時に着るなんて思ってなかったけど」

そう呟き、クラウディアがクローゼットから出したのは、自分がもう着ないと思っていたダンサーの仕事で着たドレスだった。ミッドナイトブルーの星空を纏っているかのような美しいロングドレスは、女性らしい体のラインをしっかり強調してくれる。