そして、交際が始まって五年。クラウディアは、仕事の都合でなかなか創と会えないことにヤキモチを焼いていた。
「はぁ……。逢いたい……」
もう三週間は会えていない。電話やメールでやりとりはしているものの、互いに触れ合うことができないのは辛い。
「やっと創もスキンシップに慣れてくれて、キスやハグをしてくれるようになったのに……」
クラウディアが頬を膨らませていると、「Ciao〜!(こんにちは〜!)」と言いながら絵画教室に通う生徒たちがやって来た。クラウディアも「Ciao!」と返し、絵画教室が始まった。
絵画教室でクラウディアは絵を教えていき、やがて夕方になるとみんな帰っていく。
空はまるでキャンバスだ。夕闇の中にワインレッドの夕日が描かれている。
「綺麗……」
そう呟きながら、クラウディアは隣に創がいたらどんなに幸せな色に見えるのか考える。創が心の中に自分を描いていてくれていたら嬉しい、そう思いながら絵画教室から出ると、「クラウディア」と声をかけられた。