「大丈夫。私、ここに居るよ!!」
「いや!それじゃ駄目なんだ……。弟が……。殺される……」
「弟?」
「さっき……。血だらけのお地蔵さんが来て弟を連れて行ったんだよ……」
「えっ!!」


ユウキの部屋を見ると、2階ベットが有り明らかに他の誰かが居た事が分かる。

なのに、今目の前に居るのはユウキだけ__


紫のモヤは無いけど、良くない事が起こっている__

弟さんがさらわれたとしたら、どこに連れていかれたんだろうか。


妖怪の気配を探し出す魔法は有るが、居なくなった人間を探し出す事なんて出来ない。


お地蔵さんの気配が分からない限り、どうしようも無い。


「お地蔵さんが行った場所だけでも、分かれば良いのだけれど……」


そう呟いた瞬間、ベランダからガタガタと音が聞こえる。


「お地蔵さんが、また来た……!!」


そう言うと、布団の中に身を隠すユウキ。


血だらけのお地蔵さん。

そんなのが存在するなら、明らかに悪い妖怪だけども紫のモヤは全く見えない。

部屋はクリアな状態だけど……。


そんな事を思いながらベランダに近付くと、外を確認すると血だらけのお地蔵さんが立っていた。