ウゥーワアアァー。
奥歯をかみしめたまま絶叫した。

こんなことなら、移動手段は何でもいいなんて言わなければよかった。

尊が選んだ移動方法はまさかの空間移動。
もちろん私だって聞いたことはあった。
そんな能力を持っている人がいるとも知っている。
でもそれは自分と無縁の世界での話だと思っていた。
まさか目の前の知り合いがいきなり空間移動をして、自分も便乗することになるなんて思ってもいなかった。
それに、

空間移動は目には見えない空間を瞬間で移動するわけで、当然体に負担がかかる。
手や足をもがれるような感覚と、全身を切り裂かれるような痛み。
たとえるなら無数の刃物の中を飛んでいる感じ。
とにかく、痛い。痛すぎる。

――ねえ、あとどのくらいかかるの?

あまりの痛さに耐えきれず、尊に念を送る。

――我慢しろ。目を開ければ空間に取り残されて、一生この痛みとから抜けられなくなるぞ。

ええええ、無理無理。

さらに強く奥歯を嚙み締め、私は痛みを我慢することにした。