お母さんが沸かしてくれた一番風呂に入り、お化粧をして白蓮の服を着た。

「うわー、キレイ」
感嘆の声を上げる八雲。

確かに、鏡に映る私はいつも以上に真っ白で異世界な感じさえする。
日ごろから動き回っているせいか白蓮よりもたくましい手足をしているけれど、パッと見ただけではわからないんじゃないかと思うほど、よく似ている。

「娘が一人増えたみたいね」
先ほど目覚めたお母さんも、目を見張る。

これほどよく似ていれば、相手の目もごまかせるだろう。
あとは尊の作戦がうまくいくことを祈るだけ。

「稲早さん」
奥の部屋から出てきた白蓮。

「もうすっかり支度ができたのね?」

いつもとは違い旅支度をした白蓮は、肩を超える長さの髪を結いあげ肌色の化粧もしている。
この格好なら、人目を引くことはなさそう。

「本当に、ごめんなさい」
私の手をとり、涙を浮かべる白蓮。

「大丈夫、私のことは尊が守ってくれるから」

安心してと、そっと肩を抱きしめた。