「八雲様、大丈夫ですか?」
「え、ええ」
精一杯平気な振りをして、私は顔を上げた。

動揺してはダメ。怪しまれてしまうから。なんでもない顔をしていないと。

「人とは違う力を持つことは、化け物の証ではありませんよ」

ウゥッ。
酷い。
人の気も知らないで・・・
宇龍の一言で、私の仮面ははがれてしまった。


私は子供のころから人には聞こえないものが聞こえる。
もちろんいつもってわけではないけれど、確かに聞こえる。
それは、忠告だったり、嘆きだったり、悲しみや怒りの感情が込められた声。

小さなころは自分だけでなくみんなに聞こえているものいた。
でも、そのことを口にするたびに私は周囲から浮いていった。
変わった子。気持ち悪い子。
とうとう母様までが私を避けるようになった。
だから、私は口を閉ざした。
それが私の処世術。
知ったようなことを言わないでほしい。