みんなの話をまとめると、
白蓮は生まれたときから真っ白だった。
その頃はまだ山の國に住んでいた。
近所でも珍しい子供が生まれたと評判になり、父さんと母さんは白蓮と兄さんを連れて逃げるように中の國に出てきた。
雲居の中で一番賑わっている中の國ならば、誤魔化しながら白蓮を育てられるかもと思ったらしい。
それ以来、小さな家と田んぼを買い4人で穏やかに暮らしていた。
白蓮は存在を知らされることもなく、学校にも行かず、家の奥で隠れるような生活。
中の國に出てきて10年が過ぎた頃、山の国から働きに出てきた親戚の志学が家に来て、それから5人で暮らしている。
そうやってひっそりと平和に暮らしてきたのに、2年ほど前から白蓮に会いたいという金持ちが時々家を尋ねるようになった。
もちろん、父さんも母さんもハッキリと断わった。
白連を人目にさらす気はなかった。
しかし1年前、周辺で不思議なことが起き始める。
まず、稲刈り直前の田んぼで火事が起きる。
それも、焼けたのは白蓮の家の田んぼだけ。あきらかに放火だった。
犯人が捕まらないまま、今度は家畜が逃げた。財布もすられた。
生活に困ってお金を借りれば、債権が金持ちの元に回っていた。
結局、罠にはめられたんだと思う。