仕方ないというように、お父さんが口を開いた。

「昔から、色を持たない人間は神の化身のように扱われる。神の化身と言えば聞こえが良いが、血も骨も、髪の毛1本まで不老不死の象徴として奪い合われてきた。そもそも色を持たない人間なんて珍しすぎて生きているうちに目にすることができるのはごくわずかな人間だけだ」

血も骨もって・・・
命を狙われるって事?

「白蓮も生まれたときから身を隠して生きてきたんだ。肌が弱すぎて日にも当たれず、家の奥でひっそりと育った。それなのに・・・」
悔しそうに、唇をかむ。

「あんなにひっそりと生きてきたのに、いつの頃からか白蓮のことが噂になって。会いたいと連絡してくる金持ちもいて・・・」
さみしそうにお母さんが話を続ける。
「いくら言っても諦めなくて。終いには目の前にお金を積む人まで現れてね。もちろん断わったんだけど」

「そんなことで諦める奴らじゃない!」
今度は若者が声を荒げる。
「兄さん」
白蓮が若者に声をかけた。

気がつけば、みんな泣いていた