「ありがとうございます」
3人で並んで頭を下げた。

助けてくれた男性は、よく見るとかなり若そう。
クリクリとうねる髪と、日焼けした肌、緑色の瞳は、雲居の人間でないことを示している。

旅人だろうか?
よく鍛えられた、いい体をしている。

「君たちは、深山の子?」

え?
私たちは黙り込んでしまった。

こんな所で、素性をばらすわけにはいかない。

ハハハ。
若者が愉快そうに笑う。

「大丈夫。言いつけたりしないから」

「何で、私たちが深山に仕える者と思うのですか?」
思わず聞いた私に、
「うーん。君たちから出ている気の力が強いからかな?」

気の力?
そんなものがあるわけない。

「信じてもらえないかもしれないけれど、君たちからはかなり強い力が見えるんだよ」
「嘘よ」
冷たく言う私に、
「そんなに怖がらなくても、力は怖い物じゃない」
とても、さみしそうな顔をした。