「須佐に邪魔されてもかなわないから一緒に行くことにしたってわけだ」
「ふーん」

みんな私を心配してくれたのね。

「まあ、武闘派で忍び込むことがうまい神子様なんて危なくてしょうがないがな」
石見の一言は、きっと尊に対する当てつけだろう。

「悪かったな。おかげで何度か命拾いしただろう?」
「そうだな。でも、瞬間移動ができるなら町中を走り回る必要もなかったはずだ」
どうやら、石見にはだいぶ不満がある様子。

「能力を使うのは最終手段なんだよ。使えば気力は減っていくし、俺の居場所を知らせることにもなりかねない。これでも世を忍ぶ身の上でね」
「ふーん」

それ以上、石見は何も言わなかった。

「ねえ、尊は何者なの?」
今この状況でって気もするけれど、どうしても気になって聞いてしまった。

「今回の件が片付いたら話してやるから、もう少し待ってろ」
「うん。わかった」

確かに、今は八雲や白蓮の無事を確認するのが先だものね。