「おねーっさん、お父さんまだかな?」




今にも壊れそうなオンボロアパートの202号室。

それが私の家だ。


いつも通り学校から帰って来たら、何故か厳つい顔をしたお兄さんがドアの前でお出迎えしてくれた。



「あの…
どちら様ですか?」


「どちら様だぁー?
おねーさん、ナメられたら困るよ~。
お父さんにきいてないんかぁ?」


ひっ

な、なんかこの人…
あっち系の人っぽいよね?


派手な柄シャツに、金のごっついネックレス。

見た目からして…
やっぱりあっち系の人?



「いやー
それにしても、おねーさんなかなか可愛い顔してるねー?」


恐々と後ずさる私に、ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべ、厳ついお兄さんは不自然な程白い歯を覗かせた。