部屋に入るといつものように中は真っ暗で静か。
私は靴を脱ぎ、廊下と一体となっているキッチンを横切り、我が家で1番広い六畳間に向かう。
うちはかろうじてお風呂とトイレはついているけど、部屋は六畳間と四畳の小さな洋間の二つしかない。四畳間はダイニング、六畳間はリビング兼寝室。
自分の部屋なんておろか、もう高校二年生なのに家が狭過ぎるから、未だに家族三人で川の字になって寝ている。
嫌かと言ったら間違いなく嫌だが、こればかりはどうしようもない。
私は六畳間の電気スイッチをカチッとつけた。
すると、
「ヒッ」
明かりに照らされ、一人の男の後ろ姿が現れた。