ダメダメ!

私はぶんぶんと首を振る。
私はこの世界を変えるって決めたんだ。菜子好みの夢小説な展開にしてみせる。

私は拳をぐっと握った。


翌日、私は誰にも何も言わず、こっそりと自室を抜け出した。城内の図書館に行くだけだし、お伴なんて煩わしいものはいらない。それにまた、アズールに反対されるだろうし。

アズールのあの冷たい声と瞳を思い出すと、きゅっと心臓が悲鳴を上げた。バレたらきっと怒るんだろう。憂鬱な気持ちを振り払うかのように、急いで城を抜ける。すると案外簡単に図書館に行くことができた。

身軽な私は一人でゆっくりと図書館を見て回る。天井が高く、外からの光りも奥までよく届いている。すごく素敵な空間だ。

たくさんの蔵書はどれも興味深く、もうここで暮らしたいと思うほどに魅力的だった。

「シャルロット?」

「こんにちは、ジャンク」

窓際で日向ぼっこをしながら読書に耽っていた私は、本の整理をしていたジャンクに発見された。

「今日はアズール様は一緒じゃないの?」

ジャンクはキョロキョロと辺りを見回す。
いつもなら私の目の届く範囲に必ずお伴がいるのだが、今日はお忍びなのだ。

「怒りっぽいから置いてきちゃった」

「ケンカでもした?」

「そんな感じかも」

あははと笑う私に、ジャンクは柔らかい笑みを落とし隣に座る。