思わずこちらも強い口調になってしまい、二人の間に不穏な空気が流れた。だからといって、はいそうですかとしおらしくする私ではない。

「……好きにしろ」

先に折れたのはアズールだった。
だけどその態度は明らかに私に愛想を尽かしている。イライラしたオーラがビンビン伝わってきてこちらとしても気分が悪く、何だかそんな気持ちのまま出掛けるのも悔しく思える。

「もう、いいわよ。行かないから」

売り言葉に買い言葉……ではないけれど、そこまで反対されているのにアズールをお伴に図書館へ行くことも憚られた。

私は大人げなくふんとそっぽを向くと、後ろ手に自室の扉をバンっと勢いよく閉めた。完全に不機嫌さを露にした態度だったけれど、その扉は特にノックをされるわけでもなく開けろといわれるわけでもなく、しんと静まり返っている。

「アズールの分からず屋……」

ぼそりと悪態をつく。

私はただ図書館へ行きたいだけなのに。
大好きな読書だってしたいし、本を読んでこの国のことをもっと知りたい。王女として、菜子の知識を生かして図書館の運営にも携わりたい。ただそれだけなのに。

アズールがあんなに頭が固いやつだったとは思わなかった。それに、シャルロットに対する態度が冷たすぎる。

そりゃ、そのクールさがかっこいいっていうのはもちろんあるけど。

だけどそれはやっぱり小説を読んでいるからであって、実際冷たく対応されると少しばかり傷つくというか刺さるというか。