ジャンクは想像通りいい男だったなあ。

アズールの睨みに負けて今日のところはすごすごと帰って来た私は、先ほどの図書館での出来事を思い出していた。

ジャンクの積極的なアピールから私を護るアズール。
きゃー!
かっこいい!
アズール素敵!
最高!

私の盛り上がりをよそに、アズールからはめちゃくちゃ睨まれてしまった。
私はアズールのことが好きだけど、アズールはあくまでもシャルロットの護衛。ただ自分の任務を遂行しているだけなのだ。

「そんなのわかってるってば」

私は言葉に出して自分に言い聞かせる。
アズールの心がシャルロットにないことくらい、最初からわかっている。シャルロットの護衛として隣にいてくれるだけ。ウィズラブの世界ではシャルロットはジャンクと結ばれるのだから。

でも……。

でも菜子であるシャルロットは、まったくジャンクに興味はない。ていうか、冷たくされてもやっぱりアズール推しなんだけど。

これってもしかして、頑張ったら別のストーリーに変えられたりしないだろうか。さながら夢小説みたいに。

そこではっと気付く。
もしもウィズラブのストーリー通りに話が進むと、私は魔女によって拐われてしまい、それを助けてくれるジャンクと結ばれることになる。そしてなにより、アズールが責められ処刑されてしまうのだ。

「これは……絶対に阻止しなくちゃ」

私は決意を新たに、このウィズラブの物語を自分好みの夢小説へと変えることを心密かに誓ったのだった。