と、そのとき、強引に手がほどかれて腕が持っていかれた。

「ジャンク、王女に手を触れるな」

アズールは私の腕を掴んだまま、後ろ手に私をかばうとジャンクを睨み付ける。
さすがのジャンクも少しムッとした表情になった。

「アズール様……」

「王女は記憶喪失なんだ。以前のように近づかないでいただきたい」

え、これは、もしや私、アズールに護られているんじゃ?!
見上げれば鋭い目付きで一瞬の隙すら与えないといった雰囲気のアズールが、私の左腕を掴んで離さないままジャンクを睨みつけている。ジャンクとはまた違った大きくて力強い手。そこから伝わる体温を感じ取ると、急に私の胸はドキドキと高鳴った。

ああ、神様!
ボーナスステージをありがとう!
菜子は幸せです!

二人の物々しさとは対照的に、私は一人胸をキュンキュンさせながらじたばたしていた。

「シャルロット、僕は毎日ここで仕事をしているんだ。いつでもおいでよ」

「うん、わかった。ありがとう」

軽く答えると、アズールは私を掴んでいた腕を強く引き睨みを利かせてくる。

「王女、軽率な行動は控えていただきたい」

「そ、そうね。気をつけるわ」

私の頷きと共に、アズールは掴んでいた手を乱暴に離した。