というわけで、図書館に行きたいと進言したわけなのだが、なぜかアズールは嫌そうな顔をした。

「アズールが行きたくないならお伴は侍女に頼むから大丈夫だよ?」

いくら自由にしていいとはいえ曲がりなりにも王女なのでお伴は必須なのだ。だからそう提案したのに、アズールは腕組みをしてため息混じりに呟く。

「いや、いい。俺が行く」

すっごく嫌そうなんですが?
でもまあいいや、ここはポジティブに考えよう。これはアズールと図書館デートだよね、ふふふ。

ウキウキな私を見て、アズールはまたため息をついた。

「ため息つくと幸せが逃げていくよ?」

「王女が図書館に行くなどと言わなければため息はつかない」

「何それ?図書館嫌いなの?」

「……そうだな」

アズールは言葉少なげに肯定すると、黙ってしまった。

そう言われると何だか申し訳なくなる。嫌ならお伴は侍女を連れていくから無理して来なくてもいいのになあ。

でも隣を歩いてくれるアズールに、心密かにときめきを覚えた。