それにしても、まさか自分が王女様になるなんて誰が想像しただろう。
だって超平凡な生活を送ってきた菜子だよ?
ただの派遣社員だよ?
地位も名誉も何もないよ?

……いや、妄想でならいくらでもしたことあるよ。なんてったってオタク女子だし。

でもさ、シャルロットは十八歳。
菜子は二十六歳なんだけど、いいのかな?

私は鏡の前で何度も自分の姿を確認する。
色白で華奢で目がくりっとしていて柔らかな金色の髪。
線が細く、ふわふわのドレスがよく似合う。

くっ、シャルロットめ、想像以上に可愛いじゃないか。これはおばさんくさいシャルロットにならないように気を付けなくちゃいけないかもしれない。

「シャルロット様、お着替えなさいますか?」

私が鏡の前でいろいろと気にしていたので、侍女がクローゼットを開けてくれた。そこにはよりどりみどりのドレスが並んでいる。

さすが王女様、ドレスの種類も枚数もスケールが違う。毎日上下地味な服を着ていた菜子とは大違いだ。

せっかくなので選んでみた。
今着ているドレスはふわふわしすぎて動きづらいと思っていたのだ。だからもう少し落ち着いたデザインで地味な色合いのドレスに着替えることにする。