「なっ・・リュナおまゲフッ!!」

さっきの勝負は無しだって言っただろ?


オビンはそう言おうとしたがリュナによって簡単に防がれた。






どうせあたしが勝ってやるんだから同じでしょうが

いいからあんたは黙ってなさい






「・・・!!!(超怖ぇ!!)」

無言で圧力をかける野望を秘めた少女に、彼は何も言えなくなった。


そんな敗者を一瞥した後くるりと振り返ってキラキラした目で兄を見つめる


「ねぇこれであたしも役に立つって証明できたでしょ?
 今度こそ船に乗せてもらえるよね!」



まだ諦めてなかったか
呆れたように呟いてからリュトウはおてんばな妹の背に手をあてた。

「とりあえずそれは親父に話せよ。
 この状況じゃ無理だと思うけど。
 それより家に帰ろう。親父が呼んでるんだ。」


「無理ってどういうこと!?」

どんな言葉もしっかり聞き洩らさず噛みついてくるこの妹がリュトウは時々苦手だ。



「家に行けば分かる。
 お前らも、じゃぁな。」

そう言ってリュナを一緒に帰るように促す。

子供たちにひらひらと手を振り帰ろうとした彼が思い出したように振り返った。













「あぁ、オビンあんま落ち込むなよ。
 女にフラれたり、負けたりだけど人生まだ望みはあるからな。」

その眼にはなけなしの同情が込められていた。







「だから何でみんな知ってるんだぁ~!!!」