「あ、リュトウ様!」
「リュトウ様だ!」
「おかえりなさいっ」


そんな声が聴こえてリュナはさっと人ごみを振り返る。

思ったとおりそこには
「兄様!戻ったのね!!」

彼女の兄、いずれはここセンケイの長となるリュトウが立っていた。



「よぉわんぱく妹、今戻ったぞ。」

ニカっと人懐こい笑みを浮かべ彼はリュナに寄って行った。


「海はどうだった?ひと月前に嵐が来てたけど、みんな無事?」

「あぁ全員ピンピンしてるよ。それにすごいお土産も持ってきた。」


ガシガシとリュナの頭を撫でながらリュトウは航海話を披露した。


「お土産って?」
「もしかしてお宝?」


「んーまぁ近いうちにわかるぞ、楽しみにしてな」
リュトウは子供たちがざわつくのを適当に収めて、またリュナに向き合った。


「それよりリュナ・・・オビンまで倒したって本当か?」
あいつらが言ってたんだが
苦笑交じりにそう尋ねるのに対してリュナは少し黙った。


オビンを見て、リュトウを見て


「そうなの!オビンったらすごく強かったけど。
 あたし、頑張ったでしょ!?」