「お前よお、よくもこの族から逃げたなーおい」


いつも怖いと思ってた先輩の声が聞こえる



聞こえてるけど返事も出来ない


その先輩は俺に跨り



ボコォー!!!




頬を殴られた


もう意識がほぼない俺に追い討ちをかけるように



ゴンッ!!!


肋を思い切り踏まれる



今のはマジでやばいぞ……



「俺たちを裏切ったらどうなるかわかるよな?
お前がいなくなってから数が足りねーんだよ
そんなに消えたかったら俺がこの世から消してやろうか?」



裏切り?
俺を数って言ってる時点で仲間でも何でもねーだろ



「お前が死んでも悲しむやつはいるのか?」



そいつは俺のスマホを取り出した



「さっきからブーブーうるせーんだよな」


美優子さんから電話が来てる


今何時だ……


約束の時間……



「知らねーけどお前のくだらねー事情より
俺らの方が大事だよな?
そういう契約でうちに入ったんだもんな?」



確かに……そういう話はした


でも俺には


ここに居る暇はねーんだよ!!


兄貴のために……歌を歌って


美優子さんと一緒にコンサート見て……


それの何がくだらねーんだよ


お前らの方がよっぽどくだらねーだろ!