紅美以外は誰も知らない



私が昔、酷く暴力を振るわれていたこと


樹希になら話してもいいかな





私は樹希に全部話した


やっぱり樹希は優しくて私の言葉にいちいち大きな相槌をうってくれていた


「でも、これだけは信じて、樹希は嫌いじゃないから」


「わかってるよ」


樹希はそう言って


私の頭を撫でた


「ちょ、なに?」


「え?美優子さんが言ったやつそのまま真似してんだ」


「やめてよ、私の方がお姉さんなんだから」


「やだね、美優子さんが辛かった分、俺が手の平の愛情を伝えるんだよ」


「屁理屈じゃん」


「ちげーって」


でも……落ち着く


なんだろ、樹希の手はあったかい


「樹希っていい匂いするね」


樹希の香りに包まれていくと自然とその匂いに釣られていく


なんだろ、この感情


樹希の全てを受け入れてしまいそう


その凹んだ手も、匂いも、ふわふわな髪も


全部触っていたい



「美優子さん!!??」


「え?」