「んで、樹希、今日は一応スタジオ借りて演奏しようかと思ったんだけどどうする?」



リダが言う



そうだった、バンドやるんだったな俺



「……じゃあちょっとだけ」


「おっけー!まあみーこ居なくてもとりあえず何とかなるだろ」


リダに連れられてスタジオに行く




「いよー!ボーカリスト!」



俺がマイクを持つと祐さんが茶々を入れてくる



「あたし樹希の歌初めて聞くなー」


紅美さんが言う



「そうか、じゃあ紅美さんの為の1曲
聞いてください、」



俺はふざけながらも1曲歌った



この間は外だったから大声で歌えなかったけど


今はスタジオだから自由に歌える



曲が終わると


「すげー!やっぱすげーよ!」


リダと祐さんが思い切り手を叩き


やんさんも笑顔で拍手する


「めっちゃ難しい曲なのに上手い!」



紅美さんも絶賛している



……やっぱりみんな俺の歌を褒めてくれるのか?



兄貴が居ない歌なんてやりたくない



そう思ってても



俺は何故かここにいるみんなが頼もしく見えてきた



まるで兄貴がまた手を差し伸べてるみたい




兄貴……俺、兄貴の分まで



歌で頑張っていくよ