くそ……なんであんなイカついオラついたやつが楽器なんて持ってんだよ!



腹たってきたなちょっとおちょくるか?



「おーーいお前らー!」



俺は3人の男に声を掛けた



「ん?」


3人はこっちを向く



「バンドやってんのか?
青春だなー」



「……なんだこいつ、」


「無視無視、行こ」



赤茶色の髪のやつとピアスが空いてる男が俺にそう言う



「無視無視じゃないんだよなー
俺、ボーカルやるから俺も入れてくれよ」


「君、誰なんだよ」


ピアスの男が大人ぶった対応で俺に言ってくる



「俺は真のボーカリストだぜ?
お前ら俺に会いたくて震えてたろ?
会いたーくて会いーたくてふーるーえーるー」



俺は何気なく歌った


「……君、女性の音域出せるの?」


「まあな!ガキの頃からやってるからな」


「……すげーな、もっと聞かせてくれよ!」



ピアスの男は食らいついた



え?俺、軽く歌っただけなんだけど…



「よ、よーし!何が聞きたい?」


「ロックとか聞くのか?
眼差しとか歌える?」


「歌えるぞ」



俺は眼差しという有名な曲を歌った



さすがに叫ぶと迷惑だから本当に軽く歌った



「……おい、祐、やん、これやばいぞ」


「……あぁ、上手すぎる」



「え?」



こんな軽く歌っただけの俺の歌が?


いつも兄貴と歌っていて兄貴の方が上手いって言われてきたんだぞ?


その俺の歌が上手い?



「そう思ってくれるのか?」


俺は何故かこの3人に褒められて素直に嬉しくなってる


「おう、俺らボーカル探してたんだよ
何かの偶然だな、よかったら今度ゆっくり音合わせでもしようぜ」


俺はピアスの男とLINEを交換した



俺の歌を受け入れてくれている



奥底にしまっていたはずの歌に対しての熱がまた再び燃え始めているようだった