「初子さん、綺麗よ~!」
「可愛いわ、可憐だわ!」

庭園に出て、誰より先に私をつかまえたのは撫子さんと真緒さんだ。お姉さまふたりは、今日のお祝いパーティーに大はりきりだった。
なお、今回の私の仕度は、美雪というプロがいるので、お手伝いを頼まなかった。その分私の変身を楽しみにしてくれていた様子。

「美雪さん、さすが美容師さん。アップスタイルの作り方がお上手ねえ」
「メイクもドレスにぴったり。上品なのに華やかだわ」
「美雪さんは初子さんの四つ下だったかしら? また違った雰囲気の可愛らしさね。お肌はやっぱり綺麗よ」
「四人並んで写真を撮りましょう。私たち四姉妹って感じじゃない?」

撫子さんと真緒さんの勢いのあるトークに、美雪が押されている。大丈夫よ、美雪。私も最初、そうだったから。

「ほらほら、かしましいぞ。おまえたち」

私たちに声をかけてきたのは連さんだ。
私は息をのんだ。連さんがものすごく格好よかったからだ。オールバックにあげた髪、シルバーの式典用のスーツ、整った顔立ちは普段よりもキラキラと輝いて見える。

「俺の奥さんは、うん、綺麗だ。世界で一番美しいな。女神のようだ」

そう言って笑う連さんの方が、私には綺麗に見える。世界で一番、綺麗で格好いい私の旦那様だ。

「連さん、あの……」
「ん? なんだ」
「すごく……」

素敵だと言いたいのに、はずかしくて詰まってしまう。