「余計なお世話」

子どものようにぶっとふくれる撫子を初子が気遣って言う。

「さ、せっかく作ったんですから食べましょう」

そう言って紅茶を淹れにキッチンへ向かう。俺はふと気づいて尋ねた。

「ところで、夕飯は」
「あ」

女子三人が同時に口を開けた。どうやら、ケーキ作りに夢中で夕食のことは考えていなかったらしい。

その晩の夕食は四人でケーキを四分の一ずつ食べ、熱い紅茶を飲むというお茶会みたいなものになったのだった。


翌日、撫子は恭の元へ帰っていった。
【鍵はポストへ入れておきます】というメッセージがスマホに入り、恭からも御礼のメッセージがきた。ふたりはうまくいったようだ。

盛大に痴話喧嘩に巻き込まれてしまったが、これで今夜から初子とふたりきり。ようやく、誰の目も憚らず色々できる!

仕事中にそんなことは言わないが、心中期待してしまう。初子といると、ついつい子どものような気持ちになる。