帰宅すると、初子と撫子、さらに真緒までが家に集っていた。俺のいない間に、我が家で女子会か?

「兄さん、見て見て」

女子三人がじゃーんと見せてくれたのはデコレーションケーキだ。

「作ったのか?」
「そうなの。食べたいねって話してたら、初子さんが作ったことがあるって言うから」
「三人で材料買いに行って作ったのよねえ」

楽しそうで何より。俺としては、初子が妹や幼馴染と仲良くやれていることは嬉しい。しかし、俺は撫子と恭の復縁のために尽力していたんだがな……。

「これはね、お祝いのケーキなのよ」

撫子が威張って言う。

「お祝い?」

俺が尋ね返すと、初子がおずおずと言った。

「連さんのお傍に、この先も一緒にいたいというお話をしまして……。そのお祝いだと」

赤くなる初子。俺の頬もかーっと熱くなる。
それを撫子と真緒がにまにまして見守っている。

「私、知らなかったわ。初子さんと連、契約で結婚したのね。あんまりお似合いだから信じられなかった」

真緒がからかいたそうな声音で言う。

「兄さんは最初っから初子さんに本気よ。お膳立てしたのは私と叔父さまなんだから、もっと感謝してほしいわ」

撫子が言うので、俺は苛立ちと照れ隠しで顔をしかめた。

「俺は恭と話してきたから、こっちこそ感謝してほしいくらいだ。明日には迎えが来るから、逃げ回らずにきちんと話せ」