岡田隼人は、私の、幼稚園からの幼なじみだ。

 とはいっても、仲が良かったわけではない。

 知り合い以上、友達未満。

 私たちはその関係を、今、高校1年生まで保ってきていた。


 だから今まで、隼人と深く関わったことは1度もない。

 それなのに…

 私と隼人は今、夜の闇の中、一緒に帰路をたどっている。


「…何ジロジロ見てんだよ。」


 隼人にそう言われて、私は我に返った。

 いつの間にか、隼人の顔を見つめてしまっていたらしい。


 隼人は、きれいな顔立ちをしている。

 要するにイケメンってやつ。

 こんな顔なんだから、性格を変えさえすればもっとモテるのに…。


 隼人は、基本的に冷たい。

 はっきり言って、塩だ。

 このあいだも、年上の女子からの告白を残酷なくらいにばっさりと断って、泣かせてしまったらしい。

 そんな性格が災いして、隼人はイケメンなくせしてモテないのだ。


「…だから、なんでジロジロ見てんだよ。」

「え?…あっ、ごめん。」


 気が付いたら、また隼人の顔を見つめていた。


「ごめん。あまりにも隼人の顔が輝いて見えたから。」

「お世辞言ってんじゃねーよ。」

「ははっ。バレた?」


 結構本気で言ったんだけどな…。

 隼人の顔は、そのぐらい美しい。