なぜ私が、毎日のように隼人の服を汚してしまっているのか。

 もちろん、私の不器用なところも、多少関係しているとは思うけど…

 話は、1か月前までさかのぼる。



 その日は、委員会のメンバー決めをしていた。

 図書委員、放送委員と、人気のある委員会のメンバーが次々と決められていく中、私は黙ってその様子を見守っていた。

 委員会なんて、入らなくてもいいと思っていた。

 私の高校は、委員会に入ることを強制してはいないし、特に興味のある活動もなかった。

 ところが。


「美化委員―。誰かやりたい人、いないの?」


 そう、美化委員。

 美化委員だけ、メンバーが決まっていなかった。


「やりたい人いないなら、俺が決めちゃうけどいい?」


 1年1組担任の越智(おち)先生が、めんどくさそうにそう言う。


立花(たちばな)。お前どの委員会も入ってないし、美化委員やってみない?」


 越智先生に指名された立花里穂(りほ)は、あからさまに顔をしかめた。


「え~嫌ですよ、そんなめんどくさそうなの。」

「でも、誰かはやらなくちゃいけないことだぞ?」

「あっ、桜庭(さくらば)さんとかどうですか?」

「ふぇっ?」


 突然立花さんに名前を呼ばれて、私は思わず、まぬけな声を出してしまった。


「いいんじゃないか。桜庭、美化委員、やってみないか?」


 嫌とは言えなかった。