『好きかも。いや、好き』
小さいころから、もてはやされて育った。
親にも、友達にも、教師にも、可愛がられて育った。
自分で言うが、僕は、完璧だったからだ。
顔もいい。
スタイルもいい。
性格もいい。
秀才で、運動神経も抜群。
あえてもう1度言おう。
僕は、完璧だ。
そんな自分が、僕は大好きだ。
ナルシストだと言われたら否定はできないほど、自分のことを愛している。
そんな僕は、この持ち前のビジュアルのせいか、とにかくモテる。
女子から告白された回数は、とてもではないが数え切れない。
だが僕は、彼女たちの告白を、ことごとく断ってきた。
理由は単純。
僕の気持ちが、動かなかったからだ。
女子たちがどんなにロマンチックな告白をしてきても、僕はときめかなかった。
さっきも、1年の立花里穂という子に告白されたが、丁寧に断っておいた。
なんでときめかないんだろう。
僕はいつか、誰かただ1人のことを、一途に愛せる人を、見つけることができるのだろうか。
そう考えていた時だった。
彼女…桜庭音葉と出会ったのは。