《うん…》

カレはまた、真剣な表情に戻り

“まず、大前提に…
嘘じゃなくて、本当の話です。”
と切り出し

私は、少し驚きながらも
声を出さずに、コクりと頷き
カレの言葉に、耳を傾けた。

“んーっと…
大分遡った話になるので、
長くなりますが、最後まで
聞いてほしいです。

まずは…
小学6年生の頃、

ちょうど、その時ですね…

ちょっとおませになっているというか、

誰が好き?どの子がモテる?

そういう恋バナで盛り上がったりしていて…

当時のボクは、ダレが好きとか、
どの子が良いとか無かった…というか、

今思うと、異性にそういった感情が
なかったんです。

でも、当時は、全く分かってなくて
周りの子は、そういった感情になっているし
いつかなるのかな、

なんて、気楽に思っていて…

その時は、まさか
自分が異性以外を好きになるなんて…
っていうのがあって…
気にも止めていなかったんですよね。

でもボク、その時から、いやその前から
不思議なことがあって…

あ、そうだ。まず、
小学生3年生の時に
ボク、この頃、
ひょろくて、小さくて…
弱かったから
両親から、まずは、
逞しい男になりなさい!
って言われて

ある日突然、野球チーム連れて行かれて
入らされたんですよ。

最初は嫌々だったけど、

チームメイトが、優しくて、
野球も面白くなって、楽しくて楽しくて、
自然と、続けられました。

その中で1人、親友もできました。
その子には、何でも話せる間柄でした。

で、小6の秋、

その子に、話がある、
お前にしか言えない話があるって、
野球終わりの帰り道に言われて、
え?なんだろう?って、
ボクだけ?って、内心、わくわく
しながら、話を待ってて…

そしたら、

好きな子ができたって

一言。

その子は、同じクラスの女子で、
いわゆる、モテる子だったんです。

なんか、その話聞いた時、

すっごい残念な気持ちになって
なぜか、泣いてしまったんですよ。

その親友は、驚いて、
ごめんって謝ってくれて
お前も好きなのか?とまで
言われてしまって、ボクは、思いっきり
首を横に降って
自分に戸惑いながらも
なんか言わなきゃ、と思ったけど
言えなくて

なんとか、振り絞ってだした言葉が
よかったね、たった一言だったんです。
でも、その一言すら、辛くて、やっとの
思いで、出した言葉でした。

親友は、笑って、
ありがとうっていってくれました。

その後、なんとか涙を止めて
家に帰宅して、
自分の部屋直行して、また、泣いて
この感情なんなんだと思いました。

はじめは、
先越されたっていうショックなんだと
思いました。思おうと思いました。
でも、すぐに、違うと気づきました。

それから、
親友とのことを振り返りました。

一緒に帰る、帰路のドキドキ
親友が、ホームランを打って
ハイタッチしたときの、トキメく感じ

すぐに、リビングへ行き
家族共有のパソコンで調べました。
この感情がなんなのか…
色々調べて、検索して、
自分の今まで、不思議に思っていたこと

恋だったんだ

と気付かされました。

そうか…

今まで感じていたことって…

そこで、
親友が好きなんだと…
恋愛感情として…好きなんだと…悟りました。”