《フ…ッ》
静かに、微笑んだつもりが
息がもれてしまった。
“あ、え?今…笑いました?”
カレは、その様子に気づき
目を丸くしている。
《あ、ごめんなさい。つい…》
私は、メニューを机において
手を振りながら、否定する素振りをして
顔に手をあて、少し、微笑むように笑った。
“あ…!それって…癖…ですか。”
カレは、そう言うと
自分の手を軽く握って
人差し指を鼻にあてるポーズをした。
それは、私の真似だった。
私は、きょとんとした顔で
カレを見て
《あ、そうかも…》
と、呟いて思わず、
吹き出すように笑った。
すると、カレもにこりと微笑み
“そうなんですね…いや実は…”
と呟き、少しを間をあけて
困ったような顔で
“ボクもで…”と話始めた。
私は、そんなカレに、つい
《え、なんで今、溜めたの?》
と、ふいに突っ込んでしまった。
カレは、驚き
“えーっ”
と困った顔のまま、笑った。
私も、
《なにそれ》
と同じような顔をして笑った。
さっきまで感じていた、重たい空気が
一瞬で無くなる瞬間を感じた。