“着いたと言われた場所は、


精神科医…

病院でした。

ボクは、戸惑いました。

え?どこも悪くないんだけど?
どういうこと?

少し、冗談混じりに笑いながら、
父に尋ねると、

こないだ、ほら、言ってた話…
男が好きだとか、なんとか…
そんなはずない…
一回、ほら、みてもらった方がいい
と思って…

真剣に話す父さんに、ボクは、
失望しました。
あ、分かってもらえないんだと。
家族も所詮、そんなもんだとすら、
思いました。

一応、連れてこられたので
診断を受け
同性愛者である可能性が高いと
言われました。先生は優しい方で
良いね、個性だねと言ってくれたけど
父さんは信じがたかったのか、
ぽかーんとしたまま、
うんともすんとも言わず
話を聞いているのか、
いなかも分からない、そんな状態で
病院を後にし、車をはしらせた。

もちろん
帰りの車では、ずっと無言でした。

その時、ボクの中にある糸が
プツンッと、切れる音がして

あんだけ仲良いと思っていた家族から
気持ちが離れていきました。

多感な時期というのもあって
そこから、家族との会話も
最小限になりました。

ボクは悔しかったです。
1番信頼している家族に
誰1人として、
賛同者が居なかったことが。”