“ ねぇ、聞いてほしいことがあるんだ
でも、皆は、
まさかそんな話と思ってないから
母さんは、何よ、改まって…
なんて笑いながら言い、
父さんは、どうした、お小遣いか、
とボクを冷やかし、
姉に限っては
え?彼女でも出来た?って聞いてきました。
ここで怯むなと、ボクは、冬だというのに
全身に汗をかきながら、勇気を振り絞って
ボクは、同性が好き…みたいなんだ
と思いきって、しかも
割りと、大き目の声で言ったんです。
ボクは、よっしゃーっと
言ったぞという達成感すら感じていました。
でも、その後の反応が、
すべてを物語っていました。
一瞬、空気が止まり
その場を取り繕うように
姉が、
ねぇ、こないだのニュース見た?
と話題を変え、
母さんは、
なんだった?みてないかも!
と姉の話に乗り
父さんは、何も発さずに、ただ
じっとしていた。
そして、何事もなかったかのようにされ
その日を終えました。
その後も、その話に
触れることなく、週末を迎えました。
朝起きて、リビングに行くと
父がいて、テレビをじっと眺めていました。
そして、ボクの存在に気付くと、
目も合わせずに、ボソッと
ドライブ…いかないか…
と誘ってきました。
ボクは、嬉しかった。
父さんは、ボクと話したいんだ。
やっと話し合える。
父さんだけは、わかってくれている
と思っていました。
ボクは、何気ない会話から、
その事について話し出そうと
思っていました。
でも、いざドライブがはじまると
どんな話をしても、うん。
としか返ってこない。話が続かない。
ボクは、つまらなくなって
いつの間にか、眠りについていました。
そして、父さんの
ついたぞの声で、
目が覚め、車から降りました。