ど、どうしよう……新谷くん怒っちゃったかな
プリントが配られて新谷くんが私の分を渡してくれた
「ん」
「あ、ありがと」
先生がプリントを見ながら話す
「今度の1年生の宿泊訓練のプリントは後日担任からもらうように、じゃあ1年間よろしく」
1年間?
宿泊訓練?
菜々美は貰ったプリントをじーっとみていた
海斗は立ち上がって席を立つ
教室を出る時に後ろを振り向くと菜々美はプリントを握りしめて座ったままだった
頭をポリポリ掻きながら海斗は席に戻り菜々美に話かける
「成田さん、帰んねぇの?」
「………帰るけど」
「ごめん、俺が笑ったから一緒に委員するのが嫌になった?」
菜々美は首を横に振った
「荷物が主婦みたいに多いことを笑ったんじゃないよ
ネギとゴボウだけおかしくて…ごめんな」
菜々美からの返事がなかった
「あの…」
「委員会って1年間なの?一学期じゃなくて?」
「へ?」
菜々美は海斗の方を振り向いて言った
「宿泊訓練て、休める?」
「えー、わかんないけど休めないんじゃないのかな?1年生全体の行事だし」
「はぁ……どうしよう……」
菜々美は肘をついて顔を覆った
先生が教室の鍵を閉めるぞ〜と声をかけてきたから2人で教室を出た
「そんなに俺と委員するの嫌になった?」
「えっ?あっ、違うよ、新谷くんが嫌とかじゃなくてこれは私の家庭の事情だからね
委員はやっぱり断った方がよかったのかな……」
菜々美は手に持ったままだったプリントを鞄に入れた
「ごめんね、急いで帰らなきゃ!また明日」
菜々美は階段を急いで降りて帰って行った