菜々美は小声で聞く
「甘い卵焼きってお砂糖いれるの?」
「うちは塩と少し砂糖だけど、甘くはないよ」
「これ、甘いから食べてみる?」
朝香が甘い卵焼きをくれた
「菜々美、気にすることないよ
卵焼きなんて家庭によって違うんだし、菜々美の味に海斗くんを慣れさせればいいんだよ
うちの親も言ってたもん」
明日香もフォローしてくれる
「みんなありがと、でも嫌いな食べ物は聞いとけばよかったかな(笑)」
「ホントに食べれなかったら海斗くんから言うべきだよ」
「そうそう、作ってもらうんだから贅沢言わない(笑)」
まあ……確かに海斗くんが言ったわけじゃないしな
もしかして元カノさんかな
同じ高校だったの?
「君、誰?」
祐真が少し強い口調でまどかに言う
「サッカー部のマネージャーなんだよ
海斗と同じ中学なんだって」
亮太もハラハラしているようだ
「ふ〜ん……
まだ俺達メシ食ってるんだからさ、用事終わったらさっさと出ていってくんない?」
「あっ!ごめんなさい、じゃあ、部活で」
まどかはそそくさと出ていった
「祐真、悪いな」
海斗が謝った
「んー、普通は入り口で呼ぶだろうよ
いきなり入ってきてさ、人の弁当つまんで文句を言ってさ……
今日は成田の作ってくれた弁当なんだしかわいそうじゃん?
絶対聞こえてたと思うし…
ちゃんと全部食えよな」
「うん、食べるよ、旨いし」
祐真は今日はパンだったから羨しいぜとも言っていた