「お前は人を頼らないからな、でも何かほっとけなくて」

「だって、私がしなかったら誰がするの」

「そうだな、でも怪我してからマイナス思考だよな」

「だって、動けないって大変だったんだもん」

「もう少し健にも頼れよな
健もあれで意外と考えてるぞ、家族に頼れな」


「海斗くんが言ってくれたからだよ」

「お前がこれやってって言わないからだよ
教えないと健だってどうしていいかわからないよ

俺もいるから頼れよ」



菜々美は頭をあげて手で涙を拭う

全く、泣き顔は子供じゃねぇか

キュン

あれ?俺……



「そんなに家の事は海斗くんには甘えられないよ」

菜々美はまた下を向いた

「俺って、頼りない?」

「そんな事は思ってなくて……
頼りにはしてるよ、いっぱい迷惑かけてる
委員の事は甘えれても家の事はまた違うでしょ?……友達だし」



友達……


あー、そっか友達だから遠慮するのか

壁をとっぱらえばいいんだ

何でイラついていたかも泣き顔見たらわかった



俺は成田をずっと守っていきたいと思ったし、頼りにされたかった

成田にお礼を言われるたびに喜びを感じた

もっと俺を頼ってよ
ってもっと早く言いたかった





「じゃあ、彼氏だったら甘えてくれる?」

「彼氏?」

「うん」

「私……よくわからないけど、彼氏には甘えてもいいの?」

「俺が彼氏だったら、彼女には甘えて欲しいかな……俺はね」