「ありがとう……重くてごめん」

「全然(笑)」

明日香はみんなの荷物を持ち朝香を後ろから押していく


「この先はさ、最後の軽い上りと下りがあるんだよ
その足じゃきついと思うよ」

菜々美は少し海斗の背中にもたれた

正直、痛くてきつかった……


「少しだけ……」


海斗の耳元で囁き、ぎゅっと海斗に抱きついた

鼻をすする音もした




何でこいつはいつも我慢してんだよ……

チェックポイントの先生に言えば無理しなくても3人でもゴールできるのに

怪我なんだから誰も文句も言いやしない


班長の責任感なんて怪我人が負うことじゃない

頑張らなくていいことも世の中にはたくさんあるんだよ


「俺に頼っていいから……」

海斗は菜々美に聞こえるほどの声で言った

「うん……」

小さな声が聞こえた



ゴールが見えてきたので菜々美は下りると言う

海斗はしゃがんでゆっくりと下ろす

少し歩いて4人でゴールした

「菜々美、ごめんね、足大丈夫?」

朝香が抱きついてきた

「うん、ゴール出来たね(笑)
みんなありがとう」

海斗は先生に事情を話して、成田を保健の先生の所へ連れて行ってもらった

「じゃあ、退団式とバスの点呼を頼むな」

「はい」

海斗はみんなに荷物を持って退団式の整列を促した


保健の先生は腫れがひかない場合は病院に行きなさいと言われ

担任の関口先生には学校での怪我だから帰ったら父親に電話をいれておくと言われた