地図の見方と方位磁石の使い方を教えてくれた
「簡単な道はどれ?」
「ないよ(笑)チェックポイントはみんな通るんだから」
「…そっか」
「何?不安?」
海斗が顔を覗き込んできた
「ちょっとだけ…山なんて登ったことないから」
自分らしくないと思っていた
弱気なところなんて家でも外でも出したことは無い
ただ、方向音痴は自覚していて、初めていく場所はちゃんとパソコンで地図もみて印刷もしてマーカーも使って……
でもこの地図はぐるぐる線がかいてあるだけ
どれが道?細すぎない?
「大丈夫だよ、提出に行くぞ」
不安をかき消すように頭をポンと触ってくれた
琴ちゃんにやってたやつだ……
私が子供扱いされるなんて…
でも悪くない(笑)
少し安心できた……
でも朝から私は地図ばかり見ていた
スタートの時間になり4人で歩き出した
「スタート」
先生の合図で各グループが出発していく
最初は滑らかな道だったがだんだんと登りに差し掛かってきた
それでもいつもの仲の良い4人組だから話はつきることなく進んでいき
分かれ道でも相談しながらなんとかチェックポイントを通過していく
あるチェックポイントで先生に少しペースを上げるようにと言われた
「朝香、頑張れる?」
「ふう、ふう……なんとか頑張るよ」
朝香に声をかけ、背中を押す菜々美
「最後なのかな?」
「色んな道があるから最後はわからないんじゃないの?」
「私らまだ登りだからさ、もう下ってる班が多いのかもね」
「時間はまだたっぷりあるから大丈夫よ」