美術館に行ってから御礼がしたいって言われて
先輩はもう2月から学校に来ないし、県外の美術大学にいくそうで、部活の休みが今日しかなかったから行ったらしい

「カフェにいったんでしょ?朝香から聞いたよ」

「うん、自分の兄が経営者らしくて、オープンのお祝いで行きたいって言ったから、ご馳走してもらった」

「そう……朝香が行列に並んでたらしいわよ」

「マジか、めっちゃ混んでた、旨かったから今度菜々美と来ようって思った」

こうやって素直に話してくれるのわかってたのに私も信じてあげられなかったね

「ごめんね、海斗くん」

「な、何で菜々美が謝るのさ、別れたいとか言わないでくれよな」

「私もわかってるのよ、海斗くんがLINEはくれるけど簡単な文章だけってことも
でも不安になっちゃったのね……
去年の事も思い出したし、また冬はほっとかれるのかなって」

「俺……言ってくれないとわかんねぇからさ、泣くより怒ってくれる方がいい、泣かれると困る」

「怒っていいの?」

「うん、だって菜々美の言うことは正しいもん」

「そんな事わかんないじゃない(笑)」

「昨日健も怒ってた、菜々美じゃない人といたからだよな、きっと」

「多分ね、あの子達は自分らのせいで海斗くんとも遊べないんじゃないかとか考えるんだろうな、それに2人とも昨日海斗くんが来ることを楽しみにしてたから」

「ごめん、埋め合わせはする」

海斗はシュンとなっていた