「琴ちゃん?」
琴が玄関から戻ってきた
「昨日お姉ちゃん、洗い物しながら泣いてたもん……」
あっ……
「あれは……」
「菜々美、話がしたい」
「別に今日じゃなくてもいいじゃない、もう少ししたらお父さんが帰るし」
「挨拶するから!」
「琴ちゃん、暫く1人で大丈夫?」
「うん」
「じゃあ、2階に行ってて、すぐにあがるから」
海斗は階段を登って菜々美の部屋に入った
菜々美が温かいコーヒーを持ってきてくれた
「はい」
「ありがとう」
「何から話す?」
「えーと……まずはごめん、菜々美が泣いたのは俺のせいだろ?」
「理由もわからなくても謝るの?」
「前にも言ったけど俺は結構すぐ忘れるし、鈍感だから……」
「まず、昨日の事をみんな気にしてるから話そうか」
「うん」
LINEが来た時に女の子と一緒に門を出たのを見たことを言った
「あの人は前に俺の絵を描きたいって言ってた美術部の人、あっ元美術部」
「誘われたの?」
「彼女を待ってるってちゃんと言ったよ」
「じゃあ、急に変わったのはどうして?」
海斗は先輩からあの絵が完成してコンクールに出したことを聞いていた
その絵が入選して、その報告をしたくて探していたと……
その展示会が昨日までで、もしよかったら見て欲しいと言われて菜々美にLINEを送ったと話してくれた
「LINEでそんな長い文章打てないし……」
美術館は少し遠くて、電車で行き2人で見てきた
「美術館がそんなに遠いとは思わなくて、ちょっとだけ見たら菜々美ん家に戻る予定だったんだよ」