本当は海斗くんのおばあちゃん家から帰ってきたら会う予定だったけど
予定を伸ばして帰ってこなくて部活も休んだと聞いた
でも海斗くんから聞いたわけじゃなくて……
たまたま明日香から電話がかかってきて、一緒にいた崎山くんから聞いたのだ
海斗くんからは
“ 会えなくなった、また新学期に”
とLINEが届いた
“ わかった”
としか返せない
どうして?
何かあった?
永井さんなら聞いてるだろうな
同じようにはしたくはなくてつい黙認してしまう
菜々美は早めに夕食の支度をした
今日は健くんが塾の日だ
健くんは菜々美が勉強を教えてきたから、結構出来る方なんだけど
冬休みに友達に無料体験に行こうと誘われて他の友達も通ってて行きたいといい出した
家からも自転車で行ける距離だ
健くんが出ていってから少しすると
“ 今日はもう行けない”
海斗くんからのLINEだった
何も返せなかった
洗い物をしながら涙が溢れてきた
うっ…海斗くん……
ぐすっ……
泣いちゃダメだ、鼻水をすする
お姉ちゃん……
琴は本を手に持っていたが、そっとリビングに行った
健の塾が終わりビルの前で少し友達と話していた
「おっ、健じゃん」
「お兄ちゃん」
隣に知らない女性が立っていた
ビルの隣にはカフェがあり、出てきた所だったようだ
「何してんだ、こんなとこで、姉ちゃん心配するだろうが」
「そっちこそ、何してんだよ、来ないから僕が何でここにいるかわかんないんだろ?」
健は友達に帰ると言って自転車で行ってしまった