「放課後、少しだけ話すよ」
昼休み終了のチャイムが鳴り2人は離れた
6時間目が終わりみんな帰っていく
海斗と菜々美は教室の後ろで昼休みの続きをする
プリントは折り終わってホチキスでとめていく
ホチキスが1つしかない為菜々美がプリントを揃えて海斗がとめていく
カチカチとホチキスの音が教室に響く
「バイトとかしてるのか?」
海斗の方が待ちきれなくて聞いた
あっ、そっか事情を話すって自分で言ったんだった
作業してるとついつい無口になっちゃう
「ううん、うちね、母親がいないのよ」
「えっ」
「まあ、母親がいなくても私らの年代ならそこまで……何て言うのかな
食べるものとか適当に出来るじゃないけど
小さい弟と妹がいるからご飯の支度や色々な家事をしなきゃいけないのね」
「だからスーパーに行っていたと?」
「うん(笑)あの日はちょっと買いすぎて……
滅多にあのスーパーは行かないんだけどね」
「笑って悪かったけどさ、知ってる子の背中からネギとゴボウがこうやって出てるんだぜ?」
海斗は菜々美の背中からビューンと手で真似をした
「確かにだよね(笑)」
2人で笑いあった
不思議だ…今まで家の事ってほとんど話したことはなかったのに、新谷くんには話せる
「お父さんとかは?聞いてもいいのか?」
「お父さんは、ツアーコンダクターで海外によく行くからもう出ちゃうと帰ってこれないじゃない?
だから予定は凄く早めに言わなくちゃダメなのよ」
「そっか、子供だけで生活してるもんだもんな」
「子供?」
「成田さんだって、成人してないんだからまだ子供だぞ!?」