「おい村越、ちゃんとローテンション考えて動け!」
「はっはははいすみませみみ未茉様…」

キュッ…休み明けにも関わらず激しいバッシュの音が鳴り響きあう体育館で、未茉は先頭切って一年の練習を取りまとめていた。

「白石と村越こっち(二年)の練習に混じらせないの?」
二年が給水タイムになりレギュラーチーム顔負けの激しい競り合いの様子を見た矢野がキャプテンの前原に尋ねると、

「矢野、白石と練習するの嫌じゃなかったの?」
白々しくわざと意地悪に尋ねる前原にムッと照れる矢野に
「い…いやに決まってるでしょうが!別にアイツがレギュラーって決まってるわけじゃないし、こっちにいないほうが私達もせいせいするんだけど!」
みえみえの強がりにクスっとする。

「そう言ってたよ。選ばれるように、最後のインターハイで二年生の足を引っ張らないように一年みんなで頑張って後押しするって。」
「…」
「試合に出れない一年や二年のことも考えてるのよ。チャンスはみな平等であるべきだって。自分だけ特別とかは嫌なんじゃない?」

誰とやっても絶対に手を抜かない未茉を二人は見ながら、
「ただ、白石も分かってると思うんだけど、村越の試合勘がね…。」