私、川田阿紀(かわたあき)は年下の子が苦手だ。理由は単純。小さい頃から弟と妹のワガママっぷりに散々翻弄されてきたからだ。私もワガママだったかもしれないが。
 あれをやりたい、これもやりたい、と言ったかと思えばすぐに、飽きたと投げ出す。家の手伝いも全部押しつける。ケンカをすれば責任はすべて私へ。都合の悪い時だけ甘える。二人の尻拭いを何回したことか。
 そんな二人を見続けた私は、他人に頼らず甘えず、自分のことは自分ですることを心がけている。そして二回目になってしまうがやっぱり年下が苦手だ。恋人にしたいのも当然同い年か年上である。

 だから私は、こんなことになるなんて思いもしていなかった。

 部活の後輩のことを、一つ年下の子のことを、好きになってしまうだなんて。