陸に手を引かれながら歩き、また丘へ戻ってきた。街の夜景が奇麗に見えるでやっと、彼は手を離してくれた。


「――――ここまで来れば、とりあえずは大丈夫だろう」

「……ねえ、陸……? 一体、何が起こっているの? あの大勢の人間は……勇樹は、あそこで何をしようとしているの?」


 私がそう聞くと、陸は私から目を逸らし地面に視線をむけてしまった。


「ねえ、教えて、陸。私を探してるって、どうして?」

「……鬼退治」


 かろうじて聞こえるだけの声量で陸はそう言った。


「え……? それって…………」

「勇樹たちは、鬼を……兎月を退治しようとしてるんだ……」


 ギュッと両手で拳を握りしめ、苦しそうに言葉を吐き出す。


「止めたんだ! 止めようとしたんだ……! だけど……」


 ……私、ここに居ちゃいけなかった。陸の近くにいたいなんて、そんな我が儘すら考えちゃいけなかったんだ。

 私と勇樹の間に挟まれて、苦しそうな陸……

 彼の為にもう、消えてなくなってしまわなければいけないんだ。

 これ以上、陸を辛い目に合わせたくないから。


「大丈夫……大丈夫、だよ、陸」

「兎月……?」